
ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権をファクタリング会社に売却することで、予定の入金日より早く資金化する資金調達の方法。
借りない資金調達として近年注目されており、徐々に経営者達に浸透してきています。
僕はファクタリング会社で3年勤務していましたが、毎月問い合わせの件数が増えていました。
そんなファクタリングについてこのページで解説していきます。
ファクタリングの種類
まずはファクタリングの種類について。大きく分けて5種類のファクタリングがありますが、それぞれ利用目的が異なります。
それぞれの種類と目的は以下の通り。
- 2社間ファクタリング・・・運転資金の確保、一時的な資金ショートの回避、財務状況の改善。
- 3社間ファクタリング・・・債権の早期資金化。与信管理、請求、回収業務の委託。
- 保証ファクタリング・・・貸倒リスクの保証。
- 国際ファクタリング・・・輸出代金の支払保証、輸出入の代金回収、外国の会社の与信。
- リバースファクタリング・・・支払の代行。買掛金の支払サイトの延長。
見て分かる通りかもしれませんが、冒頭で述べた最近注目されているものは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングです。
一般の事業者は、保証ファクタリング、国際ファクタリング、リバースファクタリングはなかなか使うタイミングがありません。
ということで2社間ファクタリングと3社間ファクタリングについて次項で解説していきます。
2社間と3社間ファクタリングの違い
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いは、取引に関わる会社の数です。
2社間ファクタリングはファクタリングを利用する企業とファクタリング会社の2社間で完結する取引。
一方で3社間ファクタリングは、売掛先も含めた3社間で取引が発生します。
このように取引に関わる会社の数が変わると当然ですが、仕組みも変わってきます。
まずは2社間ファクタリングの仕組みから見ていきましょう。
2社間ファクタリングの仕組み
2社間ファクタリングの仕組みを図で表すと以下の通り。
図の中の数字の順番で取引が発生します。
- 利用企業が売掛先に商品・サービスを納品する。
- 利用企業がファクタリング会社に債権買取を依頼。
- ファクタリング会社が利用企業に買取代金を支払う。
- 支払期日に売掛先が利用企業に代金を入金する。
- 入金された代金を利用企業がファクタリング会社に送金。
2社間ファクタリングは、このように売掛先からは通常の掛け取引にしか見えませんが、裏でファクタリングを利用して資金化を早期に実施しているという仕組みです。
3社間ファクタリングの仕組み
そして3社間ファクタリングの仕組み。
3社間ファクタリングは、パターンによって取引の順序が異なるため、分かりやすく数字を振ることはできません。
というのも、利用企業と売掛先がお互いの取引のために3社間ファクタリングを導入するパターンと、利用企業が請求と回収を委託するために導入するパターン、利用企業が売掛金の回収サイトを短縮するために導入するパターンと様々あるためです。
特徴としては、いずれにせよ売掛先の同意が必要ということと、支払期日に売掛先が直接ファクタリング会社に支払うということです。
それでは、この仕組みを踏まえた上で2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
2社間・3社間ファクタリングのメリットとデメリット
まずは2社間ファクタリングのメリットとデメリットから見ていきましょう。
2社間ファクタリングのメリットとデメリット
-
- 最短即日で資金化ができる。
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- 売掛先に知られない。
-
- 手数料が若干高い。
ただ売掛先に知られないというのがどのようなメリットになるのかというと、「資金繰りに困っている」と思われないということ。
ファクタリングは、売掛先に対する債権を売却することになるため、正直売掛先からしたら良い気はしません。
さらに、債権を売却しなければやっていけないほど財務状況が困窮しているのかと思われてしまい、最悪の場合は取引を解消されてしまうこともあるでしょう。
3社間ファクタリングのメリットとデメリット
-
- 手数料が安い。
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- 2社間より審査が甘い。
-
- 売掛先への通知・同意が必要。
- 資金化に時間がかかる。
3社間ファクタリングは、売掛先に通知をする分、ファクタリング会社が負うリスクは下がるため手数料が安くなり、審査も比較的に甘くなるというメリットがあります。
ただ、その売掛先に通知するという部分のハードルがかなり高いので現状利用者は微増程度です。
中間まとめ
ここまででなんとなく分かってきたでしょうか。
最近一般の事業者や個人事業主からの利用が特に増えているのは2社間ファクタリングです。
ということで、ここからは2社間ファクタリングについて解説していきます。
まずは主要な他の資金調達方法との比較からしていきましょう。
ファクタリングと他の資金調達方法の比較
2社間ファクタリングと主な他の資金調達方法を比較すると以下の通り。
比較次項 | ファクタリング | 銀行融資 | ビジネスローン | 手形割引 |
手数料 | 5~20% | 0.5~5% | 5~18% | 1.5~20% |
審査 | 甘い | 厳しい | やや甘い | やや甘い |
対象 | 法人・個人事業主 | 法人 | 法人 | 法人・個人事業主 |
スピード | 最短即日 | 2週間~ | 1週間~ | 最短即日 |
担保保証 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
信用情報 | 影響なし | あり | あり | あり |
このように比較するとかなり分かりやすいですが、2社間ファクタリングのメインの顧客層は中小企業や小規模事業者、個人事業主です。
そのため、他の資金調達に比べて利用のハードルはかなり低くなっています。
改めて、他の資金調達と比較したときの2社間ファクタリングのメリットとデメリットをまとめると以下の通り。
- 最短即日で入金可能
- 信用情報に影響しない
- 融資枠を使わない
- 審査が甘い
- 担保・保証人が不要
- 手数料が若干高い
- 売掛先に知られる可能性がある
- 将来の利益の前借りである
ほとんど書いてある通りなのですが、メリットの「審査が甘い」という部分について言及しておきます。
なぜファクタリングは審査が甘いのかと言うと、審査対象が他の資金調達とは違うためです。
ファクタリングの審査対象は売掛先であり、利用する企業ではありません。
ファクタリング会社は、債権を買い取った後にしっかりと回収できるかどうかを重視しており、利用企業の財務状況はほとんど気にしていません。
だからこそ2社間ファクタリングの会社では、赤字・債務超過・税金や社保を滞納している企業でも審査に通しています。
正直他の資金調達ではありえませんよね。
言ってしまうと、そのハードルの低さがファクタリングの利用者が増えている理由なのです。
また、デメリットについて言及するとしたら、売掛先にバレる可能性があるというところでしょうか。
売掛先に知られないと上述した手前、説明しておきます。
2社間ファクタリングは基本的に売掛先に通知はしませんが、バレる可能性が全くないかと言うとその限りではありません。
というのも、債権を売却する際に債権譲渡登記をすると、登記簿を見られた場合に知られてしまう可能性があります。
そこまでされる可能性がほとんどない、ということと債権譲渡登記なしで利用できるファクタリング会社も増えてきているため「売掛先に知られない」と上述していたのです。
これらさえおさえておけばファクタリングのメリットの大きさが分かるでしょう。
メリットの大きさが分かって頂けたところで、続いてファクタリングの注意点について解説していきます。
ファクタリングは規制対象外
現在、ファクタリングを規制する法律はありません。
それは、ファクタリングが貸金業ではないためです。
あくまで債権の売買契約であり、言ってしまえばモノの売り買いと同じなのです。
つまり何が言いたいのかというと、ファクタリング会社は手数料を自由に設定できるということ。
自由に設定できるということは、会社によって手数料率にかなり差があるということです。
その点、ファクタリングを利用する際は会社選びがかなり重要であり、利用者が注意しなければならないポイント。
ということで、次項で優良ファクタリング会社の選び方を解説していきます。
優良ファクタリング会社を見極めろ!
ファクタリング会社が優良なのかどうか見極めるためのポイントは5点。
ポイント① 会社概要を見る
会社概要を見るとその会社の情報の開示性を見ることができます。
ファクタリング会社は、代表者名、住所、資本金、設立年月など公開していて当たり前の情報が書いていないことが多いためチェックしましょう。
ポイント② 手数料率が明記されているか
2点目は、そのファクタリング会社のサイトに手数料率が明記されているかどうかです。
手数料を書いていないところも多いので重要なポイントになります。
欲を言うと手数料率の上限が書いてあれば安心感は強いです。
ポイント③ 悪い情報が書いてないか
当サイトのようなファクタリングの比較サイトも徐々に増えてきました。
そういった比較サイトに悪い情報が書いてないかどうかも重要なポイントです。
また、比較サイト以外でも闇金の情報を掲載しているサイトなどにファクタリング会社の情報が書いてあることもあります。
ネット上をくまなくチェックすることも優良会社に辿り着くためには必要です。
ポイント④ 相見積もりをする
見極めるポイントというよりは方法ですが、ファクタリングを利用する際は相見積もりをおすすめします。
手数料率は会社によって違うので、1社だけの見積もりで判断するのは尚早と言えるでしょう。
ポイント⑤ 2社間以外のファクタリングを扱っているか
ファクタリング会社によって扱っているサービスの幅もかなり異なります。
おすすめなのは、2社間ファクタリング以外に3社間・診療・介護・調剤報酬ファクタリングを扱っている会社。
というのも、それらはノウハウがないとできないためです。
ファクタリング会社はここ最近乱立しているため、中には大したノウハウのない会社もあります。
財務状況を見てファクタリングをすべきかどうかをしっかりと判断することができる会社を選ぶべきであり、それができるかどうかを測る指標として他のサービスを扱っているかどうかを見ましょう。
また、会社概要の事業内容の部分に「コンサルティング」と明記されているかどうかでも判断することが可能です。
しっかりチェックしてください。
優良事業者を見極めるポイントは異常の5つです。
それでは続いてファクタリングはどんな使い方ができるのか、僕がファクタリング会社に勤めていた時に実際に居たお客様の例を参考に解説していきます。
ファクタリングがどんな使い方ができるか
ファクタリングは、債権の売却ですが、言ってしまえば未来の利益の前借りです。
使い方を間違うと将来的に資金繰りが悪化する可能性があります。
そのため利用する際には注意が必要。
元ファクタリング会社社員の立場から良いファクタリングの使い方を解説していきます。
良い使い方は2つ。
増産体制を整える
僕がファクタリング会社に勤務していたときに居たメーカーのお客様の例です。
出荷量の増加に伴って、生産体制を整えるためにファクタリングを利用されました。
この場合、将来の利益が見込めている状態での利用だったので、将来の利益を減らしてしまうファクタリングを利用しても後に資金繰りに困ってしまう可能性は低く上手い活用だと感じました。
大量受注への対応
これは、急激に大量受注を受けたときの仕入資金に充てる使い方です。
大量受注を受けるとその分大量に仕入れる必要があります。
そして当たり前ですが、大量の資金が必要になりますね。
その分を賄うためにファクタリングを利用するのはかなり良い手段と言えるでしょう。
融資は下りるまでに時間がかかってしまい、融資枠を減らしてしまうというデメリットがあります。
一方でファクタリングは最短即日で資金化することができます。
さらに大量受注を受けているのであれば未来の利益を減らしても、そこまで問題ではありません。
ポイント
以上2点のように、未来の利益を減らしても問題がなく、一時的な資金繰りのために利用するのはファクタリングの上手い使い方と言えるでしょう。
まとめ
今回は「ファクタリングとは」について解説してきました。
まだまだ全国の経営者が知っているかというとそうではないと感じます。
ファクタリングは手数料が高いと言われがちですが、他の資金調達にかかるコストと比べるとそこまで高すぎるものではありません。
下の記事でその概要はまとめています。
また、小規模事業者や個人事業主は資金調達の手段がかなり限られています。
実際利用者の中には、そのような方がかなり多くいました。
銀行融資やビジネスローンの審査に通らない人も、資金調達の選択肢の1つとして知っておくべきです。
ただ、実際に利用する際は優良業者を選んで無用な損はしないよう気を付けましょう。
当サイトのトップページでも優良業者を紹介しているので参考にしてみてください。